ブログ
10.222018
「特定技能」ビザ ~受入れ機関・登録支援機関~
「特定技能」ビザ ~受入れ機関・登録支援機関~
外国人労働者の受け入れ拡大に向け出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律が、平成31年4月1日に施行されます。
人手不足の分野で、一定の専門性・技能を有し即戦力になる外国人労働者が受け入れられることに期待が高まっていますが、その一方で約50万人とも言われている新たな外国人労働者、また一定の要件を満たした外国人の家族が日本で暮らすことになると、治安や日本人の雇用の面から不安があるのもまた事実だと思います。
「特定技能」ビザでは、「特定技能1号」の外国人に対し、「(特定技能所属機関)受入れ機関」と「登録支援機関」が日本での活動を安定的・円滑に行うことができるようにするための日常生活上、職業生活上または社会生活上の支援を行うとされています。
「特定技能所属機関(受入れ機関)」と「登録支援機関」の関係は?
「特定技能所属機関」とは、特定技能外国人を直接雇用する企業様(受入れ機関)のことを指します。
「特定技能所属機関(受入れ機関)」は、特定技能1号外国人に対し、以下の日常生活上、職業生活上または社会生活上の支援をしなければなりませんが、企業様によっては支援を実施することが難しい場合もあると思います。
そこで、「登録支援機関」に特定技能1号外国人に対する支援の全部または一部の実施を契約により委託することができます。
「特定技能所属機関(受入れ機関)」の基準は?
1. 外国人と締結する契約は、報酬額が日本人と同等以上であることなどを確保するため、所要の基準に適合することが必要。
2. 適格性に関する基準。
・労働関係法令・社会保険関係の法令の遵守。
・欠格事由に該当しないこと等。
3. 支援体制に関する基準(特定技能1号外国人材の場合に限る)
・支援計画に基づき、適正な支援を行える能力・体制があること等。
「登録支援機関」の基準は?
「登録支援機関」が1号特定技能外国人支援計画を作成・実施するためには、以下の要件を満たす必要があります。
①「支援責任者」・「支援担当者」の選任等
以下のいずれかに該当している必要があります。
1. 過去2年間に就労系の中長期在留者の受け入れまたは管理を適切に行った実績があり、かつ、役員または職員の中から「支援責任者」、及び外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに1名以上の「支援担当者」を選任していること。
2. 役員または職員であって過去2年間に就労系の中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有するものの中から「支援責任者」、及び外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに1名以上の「支援担当者」を選任していること。
3.上記1.または2.の基準に適合する者のほか、これらの者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として認められた者であること。
※「支援責任者」とは、1号特定技能外国人の支援計画の実施に関する責任者のことを言います。また、「支援担当者」とは、1号特定技能外国人の支援計画の実施に基づく支援を担当する者のことを言います。
②外国人の理解できる言語
特定技能雇用契約の当事者である外国人に係る1号特定技能外国人支援計画に基づく職業生活上、日常生活上または社会生活上の支援を外国人が十分に理解できる言語によって行うこと。
③支援状況の文書の作成・保管
1号特定技能外国人支援の状況に係る文書を作成し、当該1号特定技能外国人支援を行う事業所に特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えおくこととしていること。
④中立な立場での実施
「支援責任者」および「支援担当者」が、外国人を監督する立場にない場合その他の1号特定技能外国人支援計画の中立な実施を行うことができる立場の者であること。
⑤支援の継続
特定技能雇用契約の締結の日前5年以内またはその締結の日以後に、1号特定技能外国人支援を怠ったことがないこと。
⑥定期的な面談の実施体制
特定技能雇用契約の当事者である外国人およびその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること。
⑦その他
法務大臣が告示で定める特定の分野に係るものにあっては、当該分野を管轄する関係行政機関の長が、法務大臣と協議の上、当該分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合すること。
「登録支援機関」に登録するには?
①登録申請先
「登録支援機関」となるためには、上記の基準を満たした上で、「出入国在留管理庁」長官の登録を受ければなりません。
この登録は、5年ごとにその更新を受けなければ、その効力を失います。
これらの登録、登録の更新には、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければなりません。
②登録申請書
「登録支援機関」の登録申請に記載する内容と添付書類は以下のとおりです。
(記載内容)
1.氏名または名称、住所、法人の場合は代表者の氏名
2.支援業務を行う事務所の所在地
3.支援業務の内容およびその実施方法、その他支援業務に関し法務省令で定める事項
(添付書類)
登録の拒否のいずれにも該当しないことを誓約する書面、その他の法務省令で定める書類。
支援計画の内容とは?
・特定技能1号外国人材に関しては、本邦での活動を安定的・円滑に行うことができるようにするための日常生活上、職業生活上または社会生活上の支援を行う。
・特定技能所属機関(受入れ機関)または登録を受けた登録支援機関が、特定技能1号外国人に対する支援を行う。
(1)入国前の生活ガイダンスの提供
(2)外国人の住宅の確保
(3)在留中の生活オリエンテーションの実施
(4)生活のための日本語習得の支援
(5)外国人からの相談・苦情への対応
(6)各種行政手続きについての情報提供
(7)非自発的離職時の転職支援
(8)その他
その他
①出入国在留管理庁と特定技能所属機関(受入れ機関)等との関係
(1)外国人、特定技能所属機関(受入れ機関)および登録支援機関による各種届出
(2)特定技能所属機関(受入れ機関)および登録支援機関に対する指導・助言
(3)特定技能所属機関(受入れ機関)および登録支援機関に対する報告徴収等
(4)特定技能所属機関(受入れ機関)に対する改善命令
(5)罰則規定
②悪質な紹介業者の介在防止方策
・保証金等の徴収がないことを受入れの基準とする等の防止策を講じる
③転職
(1)入国・在留を認めた分野の中での転職を認める(転職の届出、手続きが必要)
(2)非自発的離職時の転職支援
「特定技能」ビザ ~受入れ機関・登録支援機関~のまとめ
以上のような支援を受けることは、日本で働く外国人にとってとても重要です。もしそれを怠れば、重要な指示が通じない、毎回ものすごく時間がかかる、間違った方法では危険が及ぶなど、業務に大きな影響が出てくることが予想されます。
また日本で働く外国人が、職場や生活になじめなければ孤立してしまい、逃走や犯罪につながることも考えられます。
しかし彼らの多くは若者で、よりよい生活を求めて日本にやってきます。
日本語が上達すれば、日本ではもちろん、母国に帰国してからもいい仕事に就けることを知っていますので、日本語や日本文化に触れる機会があれば、個人差はあると思いますが、どんどん上達していくでしょう。
外国人労働者から見た就職先国では、韓国なども人気があるようなので、「日本で働きたい!」、「日本へ来てよかった!」と思っていただけるよう、上手にお付き合いしていきたいですね。