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9.52018
監理団体と実習実施者
監理団体と実習実施者
外国人の技能実習の適正な実施および技能実習生の保護を図るため、監理団体については「許可制」、実習実施者については「届出制」とし、技能実習計画については個々に「認定制」となりました。
「監理団体」の許可基準
技能実習法に基づき、団体監理型で技能実習生を受け入れるためには、まず、主務大臣から監理団体の許可をうけることが必要です。
監理団体の許可基準は以下の通りです。
①営利を目的としない法人であること
商工会議所・商工会、中小企業団体、職業訓練法人、農業協同組合、漁業協同組合、公益社団法人、公益財団法人等
②監理団体の業務の実施の基準に従って事業を適正に行うに足りる能力を有すること
Ⅰ 実習実施者に対する定期監査(3か月に1回以上、以下の方法による)
ア 技能実習の実施状況の実地確認
イ 技能実習責任者および技能実習指導員から報告を受けること
ウ 在籍技能実習生の4分の1以上との面談
エ 実習実施者の事業所における設備の確認および帳簿書類等の閲覧
オ 技能実習生の宿泊施設等の生活環境の確認
Ⅱ 第1号の技能実習生に対する入国後講習の実施(適切な者に対しては委託可能)
Ⅲ 技能実習計画の作成指導
・指導に当たり、技能実習を実施する事業所および技能実習生の宿泊施設を確認
・適切かつ効果的に実習生に技能等を修得させる観点からの指導は、技能等に一定の経験等を有する者が担当
Ⅳ 技能実習生からの相談対応(技能実習生からの相談に適切に応じ、助言・指導その他の必要な措置を実施)
③監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること
④個人情報の適切な管理のため必要な措置を講じていること
⑤外部役員または外部監査の措置を実施していること
⑥基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次に係る契約を締結していること
⑦優良要件への適合性(第3号技能実習の実習管理を行う場合)
⑧上記のほか、監理事業を適正に遂行する能力を保持していること
下記を満たさない場合は、監理事業を適正に遂行する能力があるとは判断されません。
・監理費は、適正な種類および額の監理費をあらかじめ用途および金額を明示したうえで徴収
・自己の名義をもって、他人に監理事業を行わせてはならないこと
・適切な監理責任者が事業所ごとに選任されていること
監理責任者は事業所に所属し、監理責任者の業務を適正に遂行する能力を有する常勤の者でなければなりません。また、過去3年以内に監理責任者に対する講習を修了した者でなければなりません。(講習については、経過措置あり)
「実習実施者」の届出義務
実習実施者については、許可制よりも穏やかな届出制が採られています。
実習実施者は、技能実習を開始したときは、遅滞なく主務大臣に届け出なければなりません。「実習実施者届出書」を、外国人技能実習機構の地方事務所・支所の認定課に提出します。
この届出書の提出は、技能実習を行う都度ではなく、実習実施者が初めて技能実習計画の認定を受けて技能実習を開始したときのみで大丈夫です。
「技能実習計画」の認定制
技能実習を適正に実施するためには、技能実習計画を策定する必要があります。
実習実施者は、受け入れようとする技能実習生ごとに計画を作成し、外国人技能実習機構の認定を受ける必要があります。
認定申請は、第1号技能実習の場合、技能実習開始予定日の6か月前から可能で、原則として技能実習開始予定日の4か月前までに行うべきとされています(標準審査期間は、1~2か月です)。
技能実習計画の認定の基準は以下の通りです。
①修得等させる技能等が技能実習生の本国において修得等が困難な技能等であること
②技能実習の目標
③技能実習の内容
・同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと。
・第2号・第3号については移行対象職種・作業に係るものであること。
・技能実習を行う事業所で通常行う業務であること。
・移行対象職種・作業については、業務に従事させる時間全体の2分の1以上を必須業務とし、関連業務は時間全体の2分の1以下、周辺業務は時間全体の3分の1以下とすること。
・技能実習生は本邦において従事しようとする業務と同様の業務に外国において従事した経験等を有し、または技能実習を必要とする特別の事情があること(団体監理型のみ)。
・帰国後に本邦において修得等をした技能等を要する業務に従事することが予定されていること。
・第3号の技能実習生の場合は、第2号終了後に1か月以上帰国していること。
・技能実習生や家族等が、保証金の徴収や違約金の定めをされていないこと(技能実習生自身が作成する書面によって明らかにさせる)。
・第1号の技能実習生に対しては、日本語・出入国や労働関係法令等の科目による入国後講習が行われていること。
・複数職種の場合は、いずれも第2号移行対象職種であること、相互に関連性があること、合わせて行う合理性があること。
・実習を実施する期間が、第1号は1年以内、第2号・第3号は2年以内であること。
④実習を実施する期間が、第1号は1年以内、第2号・第3号は2年以内であること。
⑤前段階による技能実習(第2号は第1号、第3号は第2号)の際に定めた目標が達成されていること。
⑥技能等の適正な評価の実施(技能検定、技能実習評価試験等による評価を行うこと)。
⑦適切な体制・事業所の設備、責任者の選任
・各事業所ごとに下記を選任していること。
「技能実習責任者」、「技能実習指導員」、「生活指導員」
・申請者が過去5年以内に人権侵害行為や偽造・変造された文書の使用を行っていないこと。
⑧許可を受けている監理団体による実習監理を受けていること(団体監理型の場合)。
⑨日本人との同等報酬等、技能実習生に対する適切な待遇の確保
・報酬の額が日本人と同等以上であること(これを説明する書類を添付させ、申請者に説明を求める)。
・適切な宿泊施設の確保、入国後講習に専念するための措置等が図られていること。
・食費、住居費等名目のいかんを問わず実習生が定期に負担する費用について、実習生との間で適正な額で合意がなされていること(費用の項目・額を技能実習計画書に記載。技能実習生が理解したことや額が適正であることを示す書類を添付)。
⑩優良要件への適合(第3号技能実習の場合)
⑪技能実習生の受け入れ人数の上限を超えないこと。
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